ルパン3世カリオストロの城 の感想
宮崎駿監督にとって初の劇場監督作品である今作(劇場版未来少年コナンについてはテレビシリーズ全26話を約2時間に再編集した、いわゆる「総集編」であり、編集作業に宮崎駿監督は関わっておらず、監督の意図しない構成や演出が加えられているそうです。)は、宮崎駿監督の原点である作品ともいわれていて、TVシリーズではの145,155話に「照樹務」というペンネームで演出と脚本を担当しています(ちなみに名前の由来は当時所属していた「テレコム・アニメーション・フィルム」のテレコムからだと思われます)。
本作には、後のジブリ作品にも通じる宮崎駿監督の作家性が随所に表れています。躍動感あふれるアクション、緻密なメカニック描写(特に冒頭のカーチェイス)、美しいヨーロッパの風景、そして可憐で芯の強いヒロイン像など、その後の作品の原点ともいえる要素が詰まっています。数多くの名シーンと名セリフが、今なお語り継がれています。屋根から屋根へ飛び移るルパンのダイナミックなアクションやルパンがクラリスを励ますために手品を見せるシーンやルパンが去った後の銭形警部のセリフ「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」などが、今でもネットとかでよくフレーズとかで使われていたりしています。
公開当初の興行成績は振るわなかったものの、その後のテレビ放映などを通じて人気と評価が飛躍的に高まりまて、現在では国内外で「アニメ映画の金字塔」と称され、現代でも多くのアニメーターや映画監督に影響を与え続けています。ただし、前作の最初のルパン3世の劇場版(のちに区別をつけるために「ルパンVS複製人間」のタイトルがつく)が原作漫画に全体的にシリアスな作風の作品であるのに対して(今作でもシリアスなところはあるのですが)、後のスタジオジブリ作品のような作風を彷彿とさせる作品になっており、その点で現代では評価が高いのですが、上映当時では1作目の作風の違いとかで評価が低く、今では信じられないのですが興行収入がよくなかったようです。
制作期間も100分の長編劇場アニメ作品としてはストーリーラインの作成、絵コンテ、作画までの制作期間がわずか4カ月とか半年とかという短い期間で制作されたと言われていますが、映画を視聴してもそのような短期間で制作されたとは思えないような作品だと感じました。
特にこの作品のメインヒロインともいえる「クラリス」の声優である島本須美は、後々のスタジオジブリ作品である「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」や「もののけ姫」などでおなじみの人です。
ただ気になったことといえば、この作品のマクガフィン(小説や映画などのフィクション作品におけるプロット・デバイスの一つであり、登場人物(キャラクター)への動機付けや話を進めるために用いられる作劇上の概念のこと)の一つがクラリスの持っている指輪なわけですが、別にクラリス自身は指輪に執着はしてないですし、偽札の件についてもルパンが一目見ただけで偽札と見分けたわけで、その偽札の原版によるゴート札による世界歴史の操縦といったことにも、カリオストロ公国の隠された財宝にもルパン的にはどうかと思いますし、その点でストーリー上の設定的に破綻していると感じる人がいますが、そんなストーリーの整合性よりも作品としての面白さを優先させるのは映画としては普通に視聴している人からしては良いのですが、作品の粗探しをしている人からしては気になるのでしょう。

